フィギュアスケート世界選手権/女子

女子も荒れた大会になりましたね…。

五輪女王のザギトワがまさかの5位…。ショートから動きが悪くて優勝は微妙かなと思っていたけど、フリーで3度も転倒するとは…。

最初のルッツ失敗をなんとかカバーしようとした結果の演技ではあったけど、よく考えたら、ザギトワは世界選手権初出場なんですね。シニアデビューシーズン、ずっと安定した演技を続けてきて、こういう思わぬ展開になった時、調子が悪い時の経験が彼女にはまだなかったという事でしょうか…

彼女にとってはとてもいい経験になった大会だと思います。10代半ばで五輪女王になったスケーターは、その後消えてしまうケースがほとんどですけど、この人は違うんじゃないかという、これからまだまだ期待できるというか…。なんか応援したくなる選手です。

ザギトワのフリー構成に様々な意見があって、後半にジャンプをすべて集めるのはやっぱり難しいんだよ…と、ザギトワを擁護する声もあるし、こういう構成だから結局は立て直せなかった…という批判的意見もありました。あえて難しい構成をなんでやるのかな…という疑問がある一方で、このジャンプ構成はそう簡単にできるもんではなく、おそらくはザギトワだからできる構成だと思うし、だから、それをやりきれるザギトワは凄いし、彼女に対する評価も高いんだと思います。

来シーズンのルール改正がどうなるかは分かりませんが、後半ジャンプを固めうち…みたいなプログラムの美味しい所も見え、また、こういうプログラムの弱点や欠点も見えたシーズンだったなと思います。あっ、男子の4回転だらけのプログラムも同じですね…

まぁ、ザギトワも少し体が大きくなったように見えましたから、こういう構成が出来るのも今のうちでしょう…

優勝はオズモンド。やっと一番いい色のメダルをとりました。なんかこの人には金メダルをあげたかった。とにかく、優勝おめでとう。自爆癖がこんなにもあっさりと治るもんだとは、自信というのは恐ろしい武器ですね。真央最後のシーズンだったフィンランディア杯で真央を破って優勝してから、この人の快進撃は始まった気がします。今シーズンで現役引退でしょうか?。ならば、最後に金をとれて本当によかったです。

コストナー。地元の大会で表彰台には届きませんでしたが、31歳のベテランが最後に(まだ現役続ける気だろうか)意地を見せたというか、ショートの80点台は立派です。フリーは思わぬ得点の低さでメダルを逃しましたけど、地元なのでもっと点数差し上げるのかと思ったら、意外と普通でしたね(笑)

という事で、宮原さんにメダルが転がりこんできました。五輪のような演技はできませんでしたが、ケガからここまでよく戻ってきましたから、最後に『よく頑張ったで賞』みたいな感じでしょうか。

宮原さんに課題があるとすれば、やっぱりジャンプでしょうね。上位の選手が加点てんこ盛りもらっている中で、この人は加点が少なすぎる…。もし仮に自分がジャッジでも、今の宮原さんのジャンプでは大きな加点というわけにはいかないかな…

宮原さんて、弁当を食べてる映像で箸を左手で持ってましたから左利きですよね。スケート始めた頃は時計回りに回転してたのを、日本で濱田コーチについてから反時計回りに変えたと言ってました。まぁ、それが影響しているとは言いませんが、自分も左利きなのを様々な事で直されてきた人間なんで、回転を逆に変えたというのは、左利きにとって凄いというか、始めた頃はストレスもあったのでは…と思ってしまいます。

宮原さんはルッツ、もしくはフリップで軸が斜めになり回転不足をとられるケースがよくありますし、サルコーで最近ミスが目立っています。これ、反時計回りだとすべて左足が軸のジャンプなんですよね。利き足が左だとすれば、少し左足の方に力が入りすぎてはいないか…と思いながら宮原さんのジャンプをよく見るんですが、はたしてどうでしょうか?

新葉はよく銀メダルをとりましたね。やっぱり彼女がツボに入った時のジャンプは凄いです。ショートは出遅れましたけど、意外に点が高かったので、宮原さんとの合計で来年の3枠は大丈夫だなと思ってました。が、まさか銀メダルまで順位を上げてくるとは…

伊藤みどりさんが、新葉のジャンプは私に似てるとかなんとか言ってトリプルアクセルを伝授してましたけど、同じ豪快なジャンプでも、みどりのジャンプは天性であって他にこんなジャンプを跳べる選手はいないんです。新葉のジャンプは確かに豪快ですけど、みどりよりももっとフワっとした軽さがありますし、新葉は天性のジャンプというより、タイミングで跳ぶタイプの選手です。

いわゆる『コツ』というやつですけど、トリプルアクセル以前に、この『コツ』を修得するのが大変だと思いますし、新葉はケガしやすいタイプみたいだから、あまり無理はしないでほしい。